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年間ベストはやらない。

music

3連休ができて何をしていたのかと言えば渋谷WWWで行われた"SLOWMOTION"というイベントに行ったほかはずっと家で音楽を聴くばかりで、今年買ったり借りたりしたCDをまとめてプレイリストを作り気分の赴くままにアルバム単位で再生していて、今年は何がよかったかなあ、などと思いを馳せ、世間の波に乗っかって「年間ベスト」なるものを考えてはみたのだが、そもそも選出されたものの中に「今年出た音源」というのがあまりに少なく、もちろん私が今年聴いた音楽の中から「私の年間ベスト」はできるのだが、年間ベストというのは他者がそれを参考にして今年聴き逃していたものをチェックするという性質が強い故に、今ここで私が「私の年間ベスト」と称して「今年の10位はAutecre"Confield"です!!」などと発表したところで「11年遅いよ!!」という突っ込みすら入らないだろうから年間ベストはやらないのだが、逆に自分が雑誌やネット上で他人の年間ベストを見て気になったもの、聴き逃していたものをリストアップするという振り返り方があってもいいのではないかと思い、今回は「目下気になっている2012年の音楽10選」を以下に列挙する。

1、OMSB "Mr."All Bad"Jordan"
今年は春のスタジオコーストと秋の野音と2回DCPRGのライヴに行って、どちらもfeat.SIMI LABだったのだが、クールな佇まいのDCPRGのステージに彼らが登場したときにステージ上がパッと華やかになる様はたまらなく興奮させられるもので、訛ったリズムにのっかってゆらゆらと揺れながら訛ったラップする彼らの姿を前にして、「確実に今新しいものに遭遇している」という興奮が抑えきれなかった。新木場で観た"WALK MAN"は今年のベストシーンのひとつ。

Mr.“All Bad”Jordan

Mr.“All Bad”Jordan

2、QN "New Country"
SIMI LABを抜けたQNの3枚目。新木場で初めてSIMI LABの面々を見て思ったのは、意外と純朴で真面目そうなんだなー、ということなのだが、しかしQNだけはその中で際立ってやんちゃそうなオーラを出していた。DCPRGをバックにラップをする彼の姿が見られないのは残念ではあるが、彼の粘り気のあるラップは本当に格好良く、今後も追っていきたい。

New Country

New Country

3、Grizzly Bear "Shields"
今年はUSインディーで気になるバンドが多かった1年だった(なのに何故これを聴いていない?)。Dirty Projectors然り、コーラスに偏執的なまでに凝るバンドが多いのは自分の好みとしてはとても嬉しい。自分が高校生の頃はロックンロールリバイバルと呼ばれて単純なガレージっぽい音楽をセンスよくやるバンドやディスコパンクのような変に実験的な音楽をやるバンドが流行っていたが、その頃からは思いも寄らぬ程インディーズの質が上がっているように思える。

Shields (WARPCD229)

Shields (WARPCD229)

4、Beach House "Bloom"
相対性理論の『ハイファイ新書』を聴いたとき、「ノイズを削ぎ落としたナンバーガール」のようだと思ったものだが(もちろんそれだけではないが)、この人たちもそれと同じように「ノイズを削ぎ落としたマイブラッディバレンタイン」のようだと感じる(もちろんそれだけではないが)。来年の1月に来日公演有り。洒落込んで行くつもり。

Bloom

Bloom

5、VIDEOTAPEMUSIC "7泊8日"  6、NRQ "のーまんずらんど"
Ceroの"My Lost City"はそれまで「名前は知ってるけど聴いていない」ような私の元にもいつの間にか届いていて、気がつけば熱狂させられていた。片想いの"踊る理由"と"すべてを"はYoutubeサーフィンをしているときにふと見つけてその日の内に10回以上リピート再生した。出会いはいつも唐突であるが、それは私の思いも寄らぬところで思いも寄らぬ力によって準備されている。シーンで括ってしまうのは乱暴であるかもしれないが、東京のインディーズシーンをもっと追っていきたいと思わされた1年。

7泊8日

7泊8日

のーまんずらんど

のーまんずらんど

7、CARNATION "SWEET ROMANCE"
参加ミュージシャンの並びを見て吃驚。どんな音が鳴っているのか想像するだけでワクワクする。ワクワクして聴かないまま年の瀬を迎えてしまったが、未だにワクワクしている。このままずっとワクワクしててもいい。というのは冗談で早く聴きたい。

SWEET ROMANCE[初回限定盤]

SWEET ROMANCE[初回限定盤]

8、David Byrne & St. Vincent "Love This Giant"
エレグラで久々に再会した友人から「デヴィッド・バーンとセイント・ヴィンセントが一緒にやってるらしいよ」と言われ、デヴィッド・バーンもそこまで追いかけていなくてセイント・ヴィンセントのこともよく知らない私は相づち程度の反応しかしなかったと思うのだが、ミュージックマガジンでベストに挙げている人も多く、今年の1枚なんだなと認識した次第。口伝えの情報と誌面の情報が合わさることで初めて聴いてみようかと思うということ。これもひとつの縁。

Love This Giant

Love This Giant

9、Traxman "Da Mind Of Traxman"
この人は目利きだと思ってチェックしているブログやツイッターがあって、そういう人たちは大抵「このイベントに行く」ということを当日になるまで明かさず、当日になって初めて「このイベントに行く」と呟いたり、「このイベントに行ってきた」と事後報告をする。で、大抵私はそれを見て「あ、こんな面白そうなイベントがあったのか」と悔しい思いをするのだが、そういう人たちがこぞって行っていたイベントがあって、それがTraxmanの来日イベントだった(あとPalais Schaumburgの来日)。こうして私のチェックリストは増えていく。

Da Mind Of Traxman

Da Mind Of Traxman

10、Xinlisupreme "4 Bombs"
今年は縁あってメタモとエレグラに行ったためクラブミュージックに対する興味が強くなり、野田努氏の著書を多く読んだ(『ブラック・マシン・ミュージック』『ロッカーズ・ノー・クラッカーズ』『テクノ・デフィニティヴ』)。数ある雑誌の中で今の自分の気分にマッチしているのは間違いなくエレキングで、エレキングの今年のベストがこれ。10年近く前にファットキャットのコンピで1曲だけ聴いたことがあるXinlisupremeが今年のベストというのは完全にノーチェックだったため意表を突かれ、当時その暴力的なノイズを聴き通せなかった自分が10年経った今何を感じるか非常に楽しみに思っている。

4 ボムズ

4 ボムズ

あれやこれやと挙げている内に怠惰な自分を感じるばかりだが、今のところは「楽しみを取っておいた」程度に考えるようにして、気張らずとも来年はもっと一瞬一瞬を楽しめるような術を模索していきたいと思っている。