読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

OGRE YOU ASSHOLE『ペーパークラフト』

music

ペーパークラフト【初回限定盤】(1CD+カセット)

 

先日、タワーレコードフジロッ久(仮)のDVDを買いに行ったときに店内で流れていて思わず買ってしまったOGRE YOU ASSHOLEの『ペーパークラフト』。購入して以来、何度も何度も聴いている。これはとても中毒性の高い作品だ。

ペーパークラフト』は全7曲から成る作品で、アルバムとしての曲数は少ないのだが、一曲一曲の個性が際立っていて、アルバムとしてのまとまりはとても良い。通底しているのはサイケとポップと反復。フィッシュマンズ『宇宙 日本 世田谷』のそこはかとないサイケデリア、ゆらゆら帝国『空洞です』の諦念の先のポップネス、カンの『タゴマゴ』のクールでホットな反復の陶酔感(一曲目のタイトルは「Paperhouse」!)、ピンク・フロイドの『あなたがここにいてほしい』の深遠な大仰さ。『ペーパークラフト』を聴いて自分の音楽の記憶から思い起こされたのはそうした音楽なのだが、それらのエッセンスが綯い交ぜに、しかし丁寧に確信をもって音が配置されているように感じられて、紛れもなくOGRE YOU ASSHOLEのオリジナルな音楽として聴くことができる。

反復の音楽と言えばファンク・ミュージックとミニマル・ミュージックである。『ペーパークラフト』の中でギターのフレーズは反復され、リズムは反復され、コーラスは反復される。しかし、ファンクのように繰り返されるリズムの中で音楽としての強度を増すということもなければ、ミニマルのように反復の中に差異を見出すということもしない。代わりに、『ペーパークラフト』の中では、反復するリズムやフレーズの上に美しい歌が乗り、シンセサイザーや管楽器が乗る。先に「丁寧に確信をもって音が配置されていて」と書いたが、おそらくはそういうことで、OGRE YOU ASSHOLEはあくまでもロックバンドとしての節度を保ちながら「反復」という手法を意識的に取り入れ、とても丁寧に確信をもってロックを再構築している。そうでなければ、アルバムの中で最もメロディアスな名曲「誰もいない」をラストに持ってくることはないだろう。この曲の際立った美しさは曲順の妙とも言える。

 折衷の音楽であるロックはどことなくまがい物であることを感じさせて悲しい。しかし、タイトルに象徴されるように、そうしたまがい物であることも『ペーパークラフト』は客体化している。とても美しいアルバムで、まだまだ聴き足りない。

 

 

 

宇宙 日本 世田谷

宇宙 日本 世田谷

 

 

空洞です

空洞です

 

 

タゴ・マゴ [初回限定盤] [Blu-spec盤] [紙ジャケット仕様]

タゴ・マゴ [初回限定盤] [Blu-spec盤] [紙ジャケット仕様]