ALFRED BEACH SANDAL礼賛。

Unknown Moments

 

アルフレッド・ビーチ・サンダルの北里さんは歌が上手い。それは今よりもまだ無名だった2009年にYOUTUBEにアップされた「うきうきWatching」を弾き語った動画がそれなりの再生数を獲得し、その歌声が好評を博していたことからも、一般的な評価と言って差し支えないだろう。この動画では「アルフレッド・ビーチ・サンダル」を名乗っていないようだが、その後2011年にリリースされた「One Day Calypso」というアルバムで彼はその名を世に知らしめることになった。「カリブ海キャプテン・ビーフハート」と評されたその音楽は、ともすればそのキャッチフレーズの通り好事家の愛好品となってしまうような危うさを持った代物だったが、やはりここでも彼の歌の上手さがそれだけでは終わらない広がりを与えていたように思う。要するにどんなにヘンテコな音楽であっても、ビーサンの音楽は彼の歌声によってどこまでも開かれた「ポップス」になってしまうのだ。

シングル「Night Bazaar」を挟んで2013年の暮れにリリースされた「Dead Montano」はBa岩見継吾、Dr光永渉をサポートに迎えたスリーピース体制の作品だったが、前作でみられたトロピカルでアヴァンギャルドな要素は鳴りを潜めたようにも感じられた。無論平凡に成り下がったというわけではない。ギター、ドラム、スティールパンを基調としたヘンテコな編成からギター、ベース、ドラムを基調としたスタンダードな編成に移行したことにより、(拍子の複雑さ、展開の豊かさを保ったまま)より普遍性のある作品となっていたのである。今作「Unkonwn Moments」もこの「Dead Montano」と基本的には同じ体制で作られており、方向性としても延長線上にある作品であると言える。かつて「カリブ海キャプテン・ビーフハート」と評された音楽を作ったビーサンであるが、今やビーサンの音楽は何にも例えようのない独自のものとなっている。

ブルースやラップ、ガレージパンクやファンクやラテンその他諸々をごたまぜにしたかのようなビーサン作品に通底するミクスチャー感覚は、強いて挙げるならベックに近いセンスを感じる。そして、ベックと同様にビーサンの音楽に凄みを感じるのは、決して彼の音楽が何かの模倣であることを感じさせない点である。ベックの音楽がベックの音楽であるとしか言いようがないように、ビーサンの音楽はビーサンの音楽であるとしか言いようがない。あらゆる音楽をミックスし独自のポップスを作り上げるのに必要なのは、取捨選択のセンスとそれをまとめあげる歌心である。今ビーサンほど上手にそれをやってのける人はなかなか思いつかない。今作におけるひとつのクライマックスである「Fugue State」はラッパーの5lackをフィーチャリングした一曲だが、異色のコラボレーションとも思われたその曲が、ここまで自然にアルバムに収まっているということが、ビーサンの器のデカさを如実に物語っている。独自性が普遍性に反転する醍醐味にポップスの真髄を感じずにはいられない。

 

ALFRED BEACH SANDAL CD-R

ALFRED BEACH SANDAL CD-R

 

 

One Day Calypso

One Day Calypso

 

 

Night Bazaar (限定1000枚)

Night Bazaar (限定1000枚)

 

 

Dead Montano

Dead Montano

 

 

Honeymoon

Honeymoon

 

 

Unknown Moments

Unknown Moments

 

 


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