1月に聴いたディスクス。

 

I See You [帯解説 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (YTCD161J)

I See You [帯解説 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (YTCD161J)

 

 昨年末から楽しみにしていたThe xxの新譜。こうだったらいいのにな、という聴き手の期待に見事に応えた快作。期待通り過ぎて面白みがないかと言えば全くそんなことはない。ロミーとオリヴァーの憂いのあるボーカルはそのままに、ジェイミーのソロを経て届けられた本作はよりダンサブルになり、快楽的でありながらブルーであるというxxならではの捻れは他では替えが効かない。スターダムに登りつめるグループはかくあるべし、という風格すら感じさせる堂々たるサードアルバム。大好き。

 

 リップスの4年振りとなるアルバム。前作『The Terror』と前々作『Embryonic』で多幸感中毒のリスナーを徹底的に裏切ったリップスだが、今作はサイケで野蛮で実験的なリップスが好きなリスナーもウェインのしゃがれ声で歌われる美メロを愛してやまないリスナーも、どちらも満足させるような一作になっているのではないだろうか。基本的には前作の反復の手法を踏襲しつつも光を差し込むかのような歌モノが随所に差し込まれ、ああこのリップスを待ってたんだと嬉しい気持ちにさせられる。リップスの歌はまるで夜明けのようなのだ。

 

結構頻繁に新作を出していたのは知っていたけど最近作までは追っていなかったアンビエント・ミュージックの巨匠ブライアン・イーノの新譜。びっくりするほど変わっていなかった。30年以上前の『ディスクリート・ミュージック』と取り替えても初めて聴く人はどちらが新譜かわからないだろう。逆に言えばそれだけ普遍性のあるジャンルを創出してしまった偉大な人なわけで。なので、イーノの過去のアンビエントシリーズを聴くときと全く一緒のノリで、本を読むときや寝る前などのふとしたときにひたすら垂れ流していた。何も新しいことだけがいいことではない。

 

ケアフル・マダム

ケアフル・マダム

 

 今年一番初めに買った新譜でたぶん一月に一番多く聴いた一枚。乱暴に言ってノー・ウェーヴ+フェイク・ジャズ+ブラジル(ってそのままアート・リンゼイの辿った足跡じゃないか…)。ビートが効いていてギターもノイジーなんだけど、そこはかとないエレガンスが漂うのはやっぱりこの人の歌声があるからだろうか。ただひたすらノイズギターと喘ぎ声だけが流れているような曲から清涼感のあるボサノヴァまで、振れ幅の大きい音楽をさらりと一枚のアルバムにまとめ上げるセンスが憎い。

 

Broken Knowz [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRTCLR18)

Broken Knowz [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRTCLR18)

 

 昨年の暮れに出たデトロイト・テクノ新世代のデビュー作。生音のサンプリングを中心とした一筋縄ではいかないリズムがおもしろいリズム・オリエンテッドな一枚。初めデトロイトっぽさをあまり感じなかったのは、ソウルミュージックというよりはさらにその先のアフリカ音楽を参照にしたかのようなトライバルなリズムゆえだろうか。とはいえ、起源に遡行した結果宇宙的な広がりを持ってしまったこの音楽は、まんまアフロ・フューチャリズムであり、正しく、新しくデトロイト・テクノしているのだと聴き込む内に理解してきた。