Walky-Talky's Journal

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2018年1月に聴いた音楽

昨年1月だけで終わってしまった備忘録的マンスリーレビュー。今年はどうにか1年通して続けたいと思い、再開。以下、1月によく聴いた音楽を。

 

Curtis Mayfield "There's No Place Like America Today" 

 カーティス・メイフィールドの75年発表のアルバム。オウガ・ユー・アスホールの出戸さんが「私を構成する○枚のアルバム」の中の一枚として挙げていて興味を持って聴いたのだが、これは凄いアルバム。必要最低限の音しか鳴らさないようなミニマルなファンクサウンドとカーティスのファルセットボーカルの緊張感が相まって、とてつもなくヒリついている。その中にあって、よく言われているようにM−3"So in Love"の光が差し込むような温かさが良い。ほっと一息つくというよりは、この一曲によりアルバムが一層引き締められているという感じであるが。個人的なベストトラックはM−4"Jesus"。ゴスペルチックなコーラスが印象的なこの曲の美しさを前に、今まであまり経験したことのないような敬虔な気持ちになり、全ての音楽は広い意味で宗教音楽だと考えることは可能だろうか、などと思ったりした。

 

サニーデイ・サービス "夏のいけにえ"

サニーデイ・サービス in 日比谷 夏のいけにえ [DVD]

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2017年8月27日の日比谷野音でのサニーデイライブの映像作品。この日のライブは残念ながら行けなかったのだが、セットリストを見てとても羨ましい気持ちになったのを覚えている。いざ映像作品となった本作を観てみると、その気持ちがさらに強くなった。曲目、演奏、シチュエーション、どれも完璧。段々と日が沈み夜になっていくという「時間の流れ」がその時間が二度と戻らないかけがえのない時間であることを示し、逆説的に「永遠性」を獲得する。この作品にビデオ画質を選択したことは最良の選択だったと言えるだろう。2017年という紛れもない現代での出来事でありながら、この作品が捧げられたトビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」がそうであるように、いつどこでそれが起きたのかわからない、その作品の中でしか存在し得ない永遠の時間がこの作品には閉じ込められている。

 

Belle and Sebastian "How to Solve Our Human Problems, Pt.1"

HOW TO SOLVE OUR HUMAN PROBLEMS, PART 1 [12INCH EP] (INSERT) [12 inch Analog]

HOW TO SOLVE OUR HUMAN PROBLEMS, PART 1 [12INCH EP] (INSERT) [12 inch Analog]

 

 ベルセバのアルバム先行EPシリーズの1枚目。EPを揃えればアルバム収録曲が全て聴けるというもの。前作の"Girl in Peace Time Want to Dance"で四つ打ちのダンスナンバーに挑戦するという新境地を開いたベルセバだが、このEPの中でもいち早く公開された"We Were Beautiful"もドラムンベース的なトラックに(ベルセバにしては)ハードなアレンジが施されたシンセポップであり、聴いた当初は結構面食らった。正直言ってこの曲が入り口だったら今のようにベルセバを好きになったとは思えないが、その足跡を多少なりとも追ってきた身からするとこれもアリなんだと思える。EP1曲目の" Sweet Dew Lee"は昨年の来日公演でも演奏されていた一曲で、ほんのりとサイケデリックでダンサブルな一品で、"We were Beautiful"がある意味飛び道具的な新境地の一曲であるとするなら、これはこれまでの延長戦上にありながら新境地を感じさせる名曲と言えるだろう。スティーヴィーのパートからスチュアートのパートに移るときに立ち上がるえも言われぬ感情にベルセバを感じる。

 

Belle and Sebastian "How to Solve Our Human Problems, Pt.2"

 アルバム先行EPシリーズの2枚目。もはやベルセバは内省的な文学青年によるネオアコバンドではないのだと改めて確信させられる一枚。"I'll Be Your Pilot"の美しいメロディーよ。

 

・Mount Kimbie "Love What Survives"

Love What Survives [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC553)

Love What Survives [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC553)

 

昨年聴き逃していた1枚。 無茶苦茶かっこいい。生音に重きが置かれたビートやキング・クルールのゲストボーカルから多分にクラウトロックニューウェーヴ、ノーウェーヴの要素を感じる。所謂パンクと呼ばれる音楽のノーマルな音楽性よりもポスト・パンクの時代に現れたバンドの自由な空気にこそパンクを感じるものだが、マウント・キンビーのこのアルバムはその意味でパンキッシュ。ヒリついた空気に満ちているが、案外キャッチーでもある。低音の鳴りも素晴らしく、ライブ観てみたかったなと今更になって思っている。

 

・King Krule "The Ooz" 

The Ooz [解説・歌詞対訳 /国内盤] (XL872CDJP)

The Ooz [解説・歌詞対訳 /国内盤] (XL872CDJP)

 

去年聴き逃していた1枚。 マウント・キンビーのアルバム同様にパンクを感じさせる1枚。M-1"Bisucuit Town"のダウナーなヒップホップ的なビートが無茶苦茶かっこいいのだが、アルバム通してで聴くとビートミュージックというよりは寧ろ破滅的な酔いどれシンガーソングライターによる楽曲集という趣を感じる。ヒップホップもあればニューウェーブもありアシッドフォーク的な楽曲もある。破綻すれすれのところで成り立っているこの感じは相当危うい。とにかくダウナーでヒリついた空気にそれだけで好きになれるが、人によってはこのダルさは耐えられないかもしれない。