Walky-Talky's Journal

INDIE POP FANCLUB

LOW "DOUBLE NEGATIVE "

 凄まじい音圧を全身で浴びたい、スロウコア/サッドコアの先駆的バンドLOWによる会心の一枚。 

DOUBLE NEGATIVE (IMPORT/LP) [Analog]

DOUBLE NEGATIVE (IMPORT/LP) [Analog]

 

Released - September 14, 2018

Genre - Rock

Label - Sub Pop

Score - 8.7

https://pitchfork.com/reviews/albums/low-double-negative/

SUB POPより、米ミネソタのスロウコア/サッドコア・バンド、LOWのニューアルバム。

不勉強ながらこのLOWというバンドを自分は知らなかったのだが、ピッチフォークのBEST NEW ALBUM獲得ということで聴いてみた。LOWは1993年に結成され今年で25年を迎えた四半世紀にも及ぶ活動歴のあるアメリカのベテラン・インディー・バンド。本作は12枚目のアルバムということなので、大体2年に1枚のペースでアルバムを出してきたことになる。「スロウコア/サッドコアの先駆者」として知られているようだが、そもそも「スロウコア/サッドコア」とは何か? WIkipediaによれば、スロウコア/サッドコアは、オルタナティヴロック、インディーロックのサブジャンルのひとつで、「寒々とした暗いメロディと歌詞、抑制の効いたスローテンポのリズムにミニマリスティックなアレンジ」が音楽的な特徴で、「1990年代初頭、当時隆盛を誇ったグランジへの反発として始ま」り、「グランジの衰退によりスロウコアのグランジに敵対するというステータスがなくなり、結果的にスロウコアも徐々に衰退するが、今日でも一部のオルタナティヴ・ロックやインディー・ロックのバンドにインスピレーションを与えるジャンルの一つ」だそうだ。最近の若手のインディー・バンドだと、シガレッツ・アフター・セックスなんかがサッドコアバンドのレッド・ハウス・ペインターズからの影響を公言しているらしい(余談だが、レッド・ハウス・ペインターズの"Between Days"という曲は、くるりの"How To Go"の元ネタとして知られているようだ)。

さて、LOWの "DOUBLE NEGATIVE "である。ジャンルとしてのスロウコア/サッドコアは衰退しているようだが、このアルバムの音像の凄まじさはとてつもなくモダンである。冒頭からしてグリッヂ・ノイズが炸裂、低音がよく効いた音圧に度肝を抜かれ、ついつい音量を上げたくなる。そしてそこに乗る「寒々とした暗いメロディー」のボーカルにはオートチューンが施されている。グリッヂノイズにオートチューンのボーカル、というありそうでなかった組み合わせに、一瞬にして「この音楽はヤバい」と反応させられる。感触としては、BON IVERの"22, A MILLION "と近しい距離を感じたのだが、それもそのはず、本作のプロデューサーであるBJ BURTONは、"22, A MILLION"のコンポーザー、プログラミング、サキソフォニストとしてクレジットされている人物だった。"22, A MILLION "は極上の美しいメロディーをエモーショナルに歌い上げるジャスティン・ヴァーノンの歌唱にオートチューンが施される異形の作品だったが、本作もまたスロウコア/サッドコア的なフォーマットを踏襲しつつインダストリアルなノイズに乗る陰鬱なボーカルにオートチューンが施される異形の作品であり、出自は違えど、どちらも「ロボ声」という異物が異物感なく美しさの中に昇華されている点において共通している。また、インダストリアルなノイズから心臓の鼓動のような四つ打ちに繋がるM1~M2の流れなどは、まんまJam Cityの傑作"Dream A Garden"を想起させられるもので、「グランジへの反発」から始まったスロウコア/サッドコアが、25年の時を経てUKクラブミュージックのカッティング・エッヂとも称される音楽に図らずも接近しているかのような凄みを感じた。

LOWの過去の作品も聴いてみたのだが、「スローなテンポ」「ミニマルなアレンジ」「暗いメロディー」というスロウコア/サッドコアの音楽的な特徴は、今作においても一貫してブレていない。骨組みはほとんど一緒だと感じる。しかし、"DOUBLE NEGATIVE"の音像は過去の作品とは比べ物にならないほど凄まじい。アナログ盤で買って思いっきり音量を上げて聴きたい。そんな一枚だ。

 


LOW - DISARRAY (Video Clip)

 

おまけ。"How To Go"とは「まあ似てなくもない」という程度(笑)。普通に良い曲。


Red House Painters - "Between Days"