Walky-Talky's Journal

INDIE POP FANCLUB

4ADショーケースでDeerhunterのブラッドフォード・コックスに激しく魅了された話。

f:id:Walky-Talky:20190125042756j:image

1/23に渋谷O-EASTで行われた4ADのショーケースに行ってきました。Deerhunter、素晴らしかったです。自分のようなアラサー世代にとってはDeerhunterやGang Gang Danceなどは世代的にドンピシャなところだと思うのですが、ゼロ年代半ばから後半にかけてほとんど現行の海外音楽シーンを追っていなかった自分は、完全に今回のライヴでDeerhunterというバンドに「出会った」感じです。遅すぎですね。しかし、それほどDeerhunterというバンドのエネルギー、ひいてはフロントマンのブラッドフォード・コックスのカリスマ性に圧倒されました。本当にショックを受けた。

ツイッターにも書いたが、今回のライヴはブラッドフォードのギターアンプに機材トラブルがあり、演奏中に何度もスタッフが呼ばれ調整を試みるものの上手くいかず、その度に彼は「ヤッテラレンワ!」という風なジェスチャーをして苛立ちを露わにしていた。それなのに曲が終わると客席に甲高い声で「アリガトー!」と何度も愛想を振り撒いており、癇癪を起こしたり愛想を振りまいたりと短い時間でコロコロと変わる振る舞いからは明らかに常人ならざるオーラがあった。こうした状況下であれば、「アンプの調子が悪いからちょっと待っててねー」などと軽く説明して曲間に一旦中断したり、そのまま怒りに任せた態度でライブを続行したりするのが自分の中にある「パフォーマーの振る舞い」として普通のことだったので、今回の彼のスタッフにキレながら観客にはスターとして気取る姿にはショックを受けたし、強く惹きつけられた。そして、こうしたところから透けて見えてきたのは彼の孤独性だった。だって、明らかにこんな人扱いづらい。普通ならどんどん人が離れていくに違いない。でも、彼にはそれを補って余りあるアーティストとしての魅力があった。彼の圧倒的な個性をバンドは辛抱強く(自分にはそう見えた)支えており、彼の世界を表現していた。きっとそこには人間性の好き/嫌いを超えたところで、彼に対する共感や信頼があるからに違いない。

後から読んだ話だが、ブラッドフォードは男とも女とも恋愛関係にならない「無性愛者」であるらしい。「僕には性別がないんだ」ともインタビューで語っているようだ。あるいは、先天的に痩身で四肢が極端に長い「マルファン症候群」という疾患を持っていることを知った。それによって、今回のパフォーマンスを観て得たショックが腑に落ちた気がする。彼の人を惹きつけるスター性は、この本来の意味での「個性」、そしてそこから来る「孤独性」によるところが大きいのではないかと思う。そして、それは彼、そしてバンドの表現にもダイレクトに繋がっている。Deerhunterのような音は出すことはできても、他のバンドにDeerhunterの世界を表現することはできない。決して趣味趣向でDeerhunterの音楽が成り立っているのではないことが今回のライブで理解できた。少しだけ観れたEx:Reは良かったし、Gang Gang Danceを観て思うこともあったけど、最後のDeerhunterの圧倒的な個性から生まれる強い表現が全てを持っていってしまった。