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柴田聡子「がんばれ!メロディー」

 

がんばれ!メロディー

がんばれ!メロディー

 

柴田聡子のニューアルバム、『がんばれ!メロディー』が素晴らしすぎます。

アコースティックな弾き語りスタイルから徐々にバンドスタイルへ変化を遂げてきた彼女の音楽は、この一枚でひとつの完成形となったようにも感じられる。有機的なバンドのグルーヴに溶け合う柴田聡子の歌。決して「上手い」わけではないが、フォークの繊細さからアイドルポップスの大袈裟な可憐さまで兼ね備えた表情豊かなボーカル表現は、どう聴いたって個性的でありながら普遍性に肉薄している。個の持つ「癖」が「当たり前」に聴こえてきて、歌の領域が拡張されていくようなこの感覚。まさに音楽を聴く醍醐味を感じることができる。


柴田聡子「結婚しました」(Official Video)
一曲目の「結婚しました」からポップ爆発。跳ねるベースとギターカッティングが映えるライトファンクサウンドに少し切なさを感じさせるメロディーがジャクソン5オザケンラインを感じさせる名曲。「マツダの軽」「ちばてつや」など絶妙にとぼけた固有名詞で脱臼しつつ、時の流れに身を任せながら揺れる心の中で人を信じようとする結論に達するポジティブさが良い。締めくくりが「離されない手をただ離さないように」というキラーフレーズ。こんな言葉なかなか出てこない。

ラッキーカラー

ラッキーカラー

  • 柴田聡子
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

そして二曲目のキラーチューン、「ラッキーカラー」。歌い出しの胸を締め付けるメロディーは一体なんなんだろう。筒美京平大瀧詠一から松本隆の黄金ラインのアイドルポップスを昇華した切なさ100%の胸キュンソング。がんばりすぎのメロディー。「いつも夜が遅いふたりのために喫茶店をつくろう 歩いて行けて歩いて帰れるところに作ろう」で始まり「急に離れることのできないふたりのために毎日少しずつ広がる岸辺と岸辺に住みいつか橋を作ろう」で終わる歌詞は、オザケンの『さよならなんて云えないよ』の「本当はわかってる2度と戻らない美しい日にいると そして静かに心は離れていくと」に接続できる世界観。徐々に離れる心を感じつつ決してネガティヴに終わらずに続く柴田聡子流の人生賛歌に胸を打たれる。

 この二曲だけでも軽くノックアウトされてるのにその後に続くハイクオリティな楽曲群は本当に凄まじい。アイデアに富んだバンドサウンドに乗せて様々な後悔をポジティブに捉え直す確かな世界観を無二の言葉遣いで紡がれる48分は、本当に音楽を聴くよろこびを感じさせてくれるもの。リリースされてからずっと聴いてるけど、このアルバムは歌詞を読みながらもっと一曲一曲を堪能していきたい。これは名盤です!